ユメウツツ

君ありて、幸福

2017-01-01から1年間の記事一覧

『相対』✱参

俺はその目をよく知っていた 嫌という程、見慣れていたんだ 俺には五つ年の離れた兄がいた 特別、頭がいいとか顔がいいとか そんなんじゃなかったけど とにかく優しい兄だった いつも俺のくだらない遊びに付き合ってくれて 母親の手伝いも率先してやりながら…

『相対』✱弍

どれくらい経ったのだろう ふと目を覚ますと 更衣室の床に寝ていた いや、寝かされていたというべきか そこに結斗の姿はなく ただ傍らには衣装が綺麗に並べられていた それが僕の着る分だと理解して勢いよく起き上がる 撮影は?どうなった? あれからスタッ…

『相対』✱壱

草木が枯れ、動物達の眠る頃 僕は"奴"と出会った…… ✱✱✱ 「え、外部の子供と仕事ぉ? やだ!ぜーったいヤダ!!」 咲玖に呼ばれてカフェに来て 奢ってくれると言うのでケーキを3つ頼んだところで こんな事なら来なければ良かったと後悔した 「やだ…って、もう決…

襲生誕祭

「やらなくていい」 しかめっ面で遠慮しているのは 本日の主役、襲 今日は彼の誕生日という事で 冬羽を筆頭にVanneのメンバー達が お祝いすると持ち掛けたのだが 「祝う気があるなら冬羽と黒雨は今日一日だけでも大人しくしててくれ パーティーなんざ必要ね…

『決着』

「なるほど、面白い冗談だね」 ここに来て襲の名前が出てくるとは思わなかった この件に関して彼は完全な蚊帳の外だと思っていた 「冗談じゃない...本当に襲に頼まれたんだ そうでなきゃ俺は何も知らずに過ごしていたよ 黒雨の言う通り、冬羽に異変は無かっ…

『容赦と安寧』

「冬羽に、何をしたのかって聞いてるんだよ...黒雨」 オフ日の午後4時、咲玖に呼び出されて彼の部屋に来ていた 問いただされているのは何の事だろう? さっきから考えているけれど 一向に思い当たらない 「んー...今日はトワたんに会ってないから何もしてな…

『"だろう"とか思っているから』

「俺、死んだらどーなるのっかなー?とかそんな好奇心は薄れたんだけどさ、じゃあ果たして殺されたらどうなるのっかなー?なんて思い始めたんだけど、お前どう思う? ...ねぇ、黒雨」 二人きりの楽屋で 唐突に、けれどほぼいつも通りに 冬羽の"好奇心"が発揮…

VanneSTORY 惹かれるもの

「シーン72 カット6 テイク2!」 助監督の掛け声と共に カチンっとボールドが鳴り演技が始まる 「...俺の事、本当にもう好きじゃないの?」 目の前にいるのは昔の彼女 俺は彼女と再会し、別れたことを後悔して 彼女の気を引こうと必死になる そんな"役" 「カ…

干渉

なかなかにぶっちゃけた話をすると 俺は彼が苦手だった 素の彼はいつも笑顔 別にその笑顔が嘘っぽいなんて事はないし むしろ周りまで明るい気持ちにさせる 素敵な笑顔だった けれど、俺はその笑顔の真裏のところに潜む "何か"が怖くて、不安で、心配だ 間借…

伝わる想い...

「シャーロット...シャーロット、おい」 「にゃーん...」 てしてしと尻尾で床を叩きながら 黒猫のシャーロットが振り向く 「お前、俺のピアス持っていっただろ どこへやった?返せよ」 「ニャー...」 バレたか...という目をして 仕方なくピアスを持ち込んだ…

君を生きるのは...

神を信じながら 神に縋りはせず 生きている子供がいる 「神様が僕を見守ってくれることはあっても 僕を生きるのは僕しかいない」 そう言って、生きている子供がいる... 「こまいぬさーん♪おはようさんさん♪」 深い紺の着物を着て 黒髪に紅い髪留めをした少年…

冬羽生誕祭

「いえーい!みんなテンションはどうー? 今日はこの俺、冬羽さんの誕生日だぜっ!」 自ら本日の主役のタスキをかけて いつもより更にハイテンションで楽屋に入ってきたのは 01月06日が誕生日の冬羽 「うるせぇ」 「はいはい、おめでとうおめでとう」 「襲ぇ…

VanneSTORY 新たな年の始まりに…

01月01日 長いようで短かった1年が終わり 新しい1年がひょっこり顔を出す そんな元旦を楽しむVanneメンバーを ちょっと覗き見... AM5:00 まだ夜も明けきらない早朝に 着替えも済ませて準備万端なのは... 「さて、いざゆかんイカ焼きの旅ー」 Vanneのリーダー…