ユメウツツ

君ありて、幸福

虚無の海

泣けば音が止みますか
責め立てるようなこの音は

狂えば息は止まりますか
捲し立てるようなこの鼓動も

この眼に見えているものはなんでしょう


あの日、あの時、例えばわたしが
貴方を信じて愛し続けたなら
ここに貴方はいるのでしょうか
わたしの隣にいるのでしょうか

貴方の残した声と音と震える空気が
今も心に突き刺さる

眠れば夢のように消えますか
嘘みたいなこの現実は

語れば霧は晴れますか
体内に満ちたこの霧は

泣いても音は止みません
責め立てるようなようなこの音は

狂っても息は止まらない
捲し立てるようなこの鼓動も

この眼に見えているものは

貴方がいない虚無の海









著:恩田 啓夢