ユメウツツ

君ありて、幸福

冬羽生誕祭

「いえーい!みんなテンションはどうー?

今日はこの俺、冬羽さんの誕生日だぜっ!」

 

自ら本日の主役のタスキをかけて

いつもより更にハイテンションで楽屋に入ってきたのは

01月06日が誕生日の冬羽

 

「うるせぇ」

「はいはい、おめでとうおめでとう」

 

「襲ぇ、黒たーん...人の誕生日くらい快く祝おう?俺が生まれた事を喜ぼう?」

 

「俺は喜んでるよ冬羽

張り切ってケーキ作っちゃった

良かったら食べて」

 

「さああああくうううう!!!

愛してる...もう俺を彼女にしてくれ

いや、嫁に来てくれ」

 

「それはお断りするけどね」

 

「僕にもケーキー」

「咲玖、そのチョコプレートくれよ」

 

「ちょっとちょっとお二人さん!主役への祝いの言葉もなしにケーキだけは食おうなんて、どうかと思う!とりあえず俺を祝って!生まれてきたことへの感謝を!」

 

「僕さっきおめでとうって言った」

「棒読みでな!」

「俺も言った...頭の中で」

「せめて心の中で言って...なんで頭の中...」

 

襲と黒雨のローテンションに

冬羽の気分まで下がる中

咲玖だけはのほほんとしていた

 

「ふふ、今日も平和でなによりだ」

「え、うそ、俺ただただ悲しいんだけど...」

「うん?...そっか、じゃあ楽しくなってもらおうかな?」

「たのし...」

 

咲玖の言葉を合図に

黒雨が立ち上がる

 

「イッツ...ショーターイム!

ピタトワ装置~発☆進!!」

 

「え、なに黒たん...急にっ???!?!」

 

隠し持っていたボタンを押すと...

 

「あーっっっ!!!!床抜けたああああ?!?!?!?!」

 

冬羽が立っていた部分の床が突如落ちた

 

下には何故か滑り台があり

なす術なく滑ってゆく

 

「ぎゃああああああ!なにこれぇ?!?!」

 

混乱しながらもキラキラと光る電飾が目に入り

よく見ると壁に花や文字が散りばめられていた

 

「H...APP...Y BIRTH...DAY...ハッピーバースデー!?」

 

長い滑り台が終わり地下のスタジオに着いた

 

「あー、ビックリし...たっ?!?!」

 

安堵もつかの間、背後から巨大なステーキが迫ってきた

 

「えっ?えっっ??なにあれステーキのオブジェ?!でかい!!むり!!!」

 

「冬羽たんお肉好きでしょー!」

 

どこからか拡声器を通して黒雨の声が聞こえた

 

「好きだけどこういう事じゃないー!!!」

 

迫りくるステーキ(作り物)から逃げながら叫ぶ

するとスタジオの奥に障子の貼られた枠があった

明らかに罠だが後ろからステーキが来ていて飛び込む他ない

 

「これ芸人さんがやるやつー!!!!」

 

先に何があるかわからないが

意を決して飛び込んだ

 

「うおおお!!!」

 

障子を破り床に伏せる

頭上をステーキが通り過ぎたのが分かった

見事、逃げ切った...が

 

「あっっっま!!!なにこれ甘い!ベタベタす...って、生クリームうううう!!!」

 

障子の向こうにあったのは大量の生クリーム

顔面からスライディングしたため

白粉を塗ったように真っ白である

 

「「「ハッピーバースデートゥーユー

ハッピーバースデートゥーユー

ハッピーバースデーディア冬羽~♪

ハッピーバースデートゥーユー!」」」

 

バースデーソングを歌いながら

メンバーがどこからともなく出て来た

その手には...

 

「あ、ちょ...それ、待っ...」

 

「「「おめでとー!!!」」」

 

バーン!という爆発音と共に

身の丈ほどもあるクラッカーから

色とりどりのテープや花吹雪

そして、何故か小麦粉が降ってきた

 

「ゲホッ...ぺっ!ぺっ!なん、なんで粉...」

 

「どう冬羽、楽しくなったでしょ?」

 

咲玖が笑いながら問いかける

 

楽しいよりもまず、他に祝い方があっただろうとか

最後の小麦粉の必要性とか

こんな大掛かりな装置いつ作ったんだとか

色々、本当に色々思うところはあったけれど...

 

「ああ、そりゃあもう楽しかったですとも...本当に...卒倒しそうなくらい...

お前ら最高だよ!バーカ!!」

 

満足げな咲玖と黒雨、珍しく無邪気に笑っている襲

甘い生クリームと色の海

そんな素敵なものに囲まれている自分

これを楽しいと言わなければ

何が楽しいのか分からないほど...

 

「...ただ、やっぱり他に祝い方あったよな?」

「「「ない」」」

「うーそーだーよおおおおお!!!」

 

こうして

ピタトワ装置は大成功に終わった

 

 

 

 

 

「あれピタ○ラ装置って言えなくない?まぁ、いいけど...」

「細かいこと気にするとハゲるよ~

あ、これ誕生日プレゼントね!」

「なぁに黒たん、あれ(装置)以上のプレゼントがある...の...」

「冬羽たんに迫って行った巨大ステーキ差し上げまーす」

「い ら な い !!!!!」