ユメウツツ

君ありて、幸福

部屋

君と過ごす日々の為に
散らかしたまま、僕を囲んでいた
宝物を片っ端から仕舞い込んだ

君の居場所を空ける為に
要るものも要らないものもお構い無しに
片っ端から仕舞い込んだ

一つ一つ天秤にかけながら
君と暮らす事より大切なものがあるか
君より価値のあるものがあるかどうか
沢山、考えてみた

でもね、一つも無かったよ
この狭い部屋に散らばった宝物は
どれも君には勝てなかった

捨てるには時間も何も無いから
見えない所に押し込んだ
開かずの間はこうやって完成するのか
なんて、ちょっと笑いながら

テーブルにゴミ箱
二人で半分ずつ使える大きさの箪笥と
椅子を二脚だけ、残しておきました

君と過ごす日々を想いながら

最終列車

自分のレールは自分で敷くよ
だから、放っておいて
自分のレールは自分で走るよ
だから、構わないで

速くなくていい
静かじゃなくてもいい
海に溺れようとも
嵐に見舞われようとも
ただ、動けばいい

君は君のレールを敷けよ
僕は決して邪魔をしない
君は君のレールを走れよ
僕は何も干渉しない

だけど、もし

僕と君のレールが重なり合い
ぶつかりそうになったなら
僕は、そっと譲ろう

心配なんて要らない
僕は僕のレールを走るだけだ
これが僕の走り方なんだ
君にだって文句は言わせない

ほら
もう迷うことはない
君の人生を行けよ

いつか終着点で会おう

二度と会えないということ

「お前は、誰かの死を目の当たりにした事はある?」

俯き、サラサラとさした髪で隠れた顔を少し上げて
優しい瞳が問いかける

僕はまだ、大切な人を失った事は無い
人の死に触れたことも...

「いつか...絶対に来る、その瞬間は
言葉には代え難い
だけど、覚えておいて
二度と会えないという本当の意味を知った時、大切な人であればある程に後悔が襲ってくる」

優しい瞳は悲しみへと色を変えた

「ありがとう、愛してる、ごめんなさい...何一つ届かない悔しさと、悲しさと、やり場のない気持ちで
頭も心も身体もいっぱいになるんだよ」

きっと、既に"そんな事"を経験したのだろう
涙を堪えているせいか声は震えている

どうすればいいの?

僕は小さく聞いてみた

「会える時を大切にしなさい
伝えられる言葉はちゃんと伝えて
足りない事はあっても、過ぎる事はないから
在り来りだけど、ありがとうも愛してるもごめんなさいも
素直に伝え続けて」

「それでも、最期の時には何か心残りが生まれるものだから
大切な人には、伝え続けて...そして強く生きて、笑って空に見せて」

僕は静かに頷き、そっと手を握った

「...いい子、大好きよ
私の可愛い天の子...優しい優しい子
これからも、ずっと...」

僕も大好き
すごく愛してる
いろんな事を教えてくれた
沢山の幸せをくれた貴女
本当にありがとう...

願わくば、このまま
いつまでも...いつまでも...

ユメ

僕はまた、夢を見ていた
君の隣を歩いている幻(ユメ)を
共に生きている理想(ユメ)を

僕と同じ道を進んでくれる人など
初めからいなかったというのに

永いこと、夢を見ていた

目を覚ませば簡単な答えだけが
ただ、ポツリと転がっていた

僕はずっと独り...

自己満足と、自己肯定と、自己愛とで構成された毎日
幻と理想の夢を追いかける人生
それで良いと思い込んでは言い聞かせ
今日まで、明日も、生きてゆく

目を閉じて見る夢が真実
目を開いて見る夢が現実

果たして僕は、眠っているのだろうか
それとも、眠っている夢を見ているのだろうか

君は本当に...いないのでしょうか。

天使の涙

あの日僕は、僕にお別れをした…


目が覚めるとそこは見知った場所だった
この辺りで一番大きな教会
僕が育った"家"

中に入ると人気は無く、瓦礫で床も疎らにしか見えない
上層部の長年に渡る不祥事が原因で
先日、内部崩壊が起きて潰れてしまった

僕はその不祥事の"被害者"だと教えてもらった
確かにずっと地下深くの部屋に軟禁されていて
だけどそれが普通じゃない事を知る術もなかった僕は
外の世界があること、朝と夜があること、幸せや不幸という概念があること、この世界に救いがあることすらも知らずに生きていた

そんな僕を暗い地下から連れ出してくれたのは
気まぐれだけど優しくて強い女の人と
口が悪くて乱暴だけど温かい手で僕を抱き上げてくれた男の人だった

その時僕は、地下にいた頃に教会の人から言われたことを思い出した

「誰もお前に会いになど来ない
こういう場合、来るとしたら親だろうが...
残念だったな、お前の親はもういない」

親というものが何かは分からなかったけれど
きっとパパとかママとか、お父さんお母さんって呼ばれている人のことだと思った
それと同時に、親がいないなんて嘘だったんだと思った
だって、僕に会いに来てくれた女の人と男の人がいる
この人たちは僕の...「まま、ぱぱ...」

そんなつもりは無かったけれど、自然と言葉にしていた
二人は一瞬びっくりした顔をして、それから笑った

「オイオイ..."ぱぱ"だとよ、隠し子か?」

女の人が男の人の肩に手をかけて寄ると
男の人はため息をついた

「あー?それで言ったらお前が俺の嫁だぞ
なんせお前が"まま"なんだからな」

そんなやり取りをしばらく続けた二人は
ふと僕を見て真剣な顔になった
「どうしたの?」と、声をかけると
女の人が僕の顔を手で包んだ

「うん、決めた...私はお前の親だ
今日から私がママだぞー
...あ、でもお母さんの方がいいなぁ」

苦笑いをしながら男の人に抱き上げられたままの僕に擦り寄ると、優しく撫でてくれた

「十架...」

「?」

「お前の名前、無いんだろう?
親である私が付けてやらないとな、だから十架だ
これから先の人生、この十字架の名前があれば
災厄から守られるだろう
安易だけどな、言葉には力がある
この名前がお前を守ってくれると私が宣言しよう」

「ありがとう...おかあさん」

僕はなんだかくすぐったくて、少しだけ息が苦しくなった

それから三人で教会を出ると、お父さんとは違う黒くて長い髪を束ねた男の人がいた
お母さんが駆け寄って短く話をした後、僕を手招きしたので
お父さんから降りてソロソロと歩み寄った

「これ、私が預かる事にしたから
助けたのは私達なんだ文句はないだろ?」

「...犬猫じゃないんだよ、そんな簡単に決めていいことじゃないと思...「やーだーね!
人の子なのは分かってるよ、でも絶っ対に幸せにしてやる
私は、上層部の奴らみたいにこの子の言葉を否定したり行動を制限したくない
私はこの子に小さな幸せを沢山教えてやりたい」

お母さんはそんな話をしばらくして、僕を抱き締めた

「何もかも間違っていたとしても、ここはお前の家だった場所だ
過去のお前に別れの言葉を告げな?
もうここには、戻らないからね」

そう言うと優しく僕の背中を押して
教会の方へと体を向かせた
僕は言葉を考えた、いっぱい考えた
だけど言葉なんてあまり知らなかったから
どうしても気持ちの全部は表せそうになかった

その時、教会の入口に人影が見えた
そこには紛れもなく昨日までの僕が立っていた

「あえ...ぼく...」

「十架?」

どうしてかなって思ったけど
その気持ちはすぐに消えて
代わりに言葉が出てきた

「あのね、ごめんね...僕いくね
おとうさんとおかあさんが出来たよ
あのね、ありがとね...僕これから外の世界が見られるんだ
それは今までがあったからだとおもうの
それからね、あのね

あのね

さよなら...昨日までの僕...」

何を言っているのか自分でも分からなかった
でも言いたいことは言えた気がした
僕がゆっくりお母さんの方に向き直ると
「これからが始まり」と言って抱き締めてくれた

とめどない涙と一緒に今まで出したことのない声が僕の中から響いていた…

僕は初めて"泣く"ということを知った






著:恩田 啓夢

ブログ限定公開イラスト

閲覧ありがとうございます
恐らくTwitterのお知らせツイートから
URLをポチっとして、わざわざ来てくださったのでしょう・・・愛してる😇

という訳でコチラ⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎

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ブログ限定公開イラスト1枚目です✨

我が家の看板息子の冬羽と、彼の仲間であり保護者的ポジション襲
最初という事でmizunowater創作事務所の始まり
Vanneから この二人を抜粋しました👍

URLポチったの後悔してない?大丈夫?😶

えー、今後もこんな感じでTwitterよりは少し
本当に少しマシなイラストをブログ限定で公開していこうと思います😁💕

これからもmizunowater創作事務所をよろしく!🙌🏻💓🙌🏻💓

新年の御挨拶

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遅ればせながら明けましておめでとうございます
mizunowater創作事務所です

小説の打ち切り、更新の停止など
昨年はサボり大魔神でございました

というのも
事務所の背景担当である染井シュウが見事
水野家の居候を脱し、独り立ちした為に
活動方針の見直しや欠員の確保など
奔走していた裏事情があります

そして、最終的にどうなったかと言いますと
プロット担当である恩田啓夢の希望により
短編集をメインとした創作ブログにマイナーチェンジする事となりました

また、作画担当であるMizunoWaterによるブログ限定公開の作品や
新たに加入した結城蓮馬のプロデュースによる被写体作品などをお見せしていこうと思います

活動範囲が多岐に渡る為、更新頻度は遅めかと思われますが
引き続きmizunowater創作事務所をよろしくお願いします

それでは、今年もよろしくお願い致します





mizunowater創作事務所一同