襲生誕祭

「やらなくていい」

 

しかめっ面で遠慮しているのは

本日の主役、襲

 

今日は彼の誕生日という事で

冬羽を筆頭にVanneのメンバー達が

お祝いすると持ち掛けたのだが

 

「祝う気があるなら冬羽と黒雨は今日一日だけでも大人しくしててくれ

パーティーなんざ必要ねぇ」

 

この態度である

 

「襲ぇ...俺の時は盛大なドッキリ仕掛けてくれたのに

自分はパーティーすら遠慮するって言うのかよぉ」

 

巨大ステーキのオブジェに追われたことを思い出しながら抗議してみる

 

「うるせぇ、柄じゃねーんだよ分かるだろうが殴るぞ」

「ぐはっ!」

 

...と、既に殴っているのだが

 

はてさてこのまま彼は静かに誕生日を終えるのだろうか

 

 

「そうは問屋が卸さないってやつだよかさねたーん♪」

 

「あ?」

 

テレッテレッテレッテレッ

テレッテレッテレッテレッ

テレッテレッテレッテレッテレ-

 

「ぴたっごらっすいっちっ!ポチッとな」

 

黒雨が隠し持っていたスイッチを押すと

またまた床が抜け落ち

 

ない

 

「何も起こってねぇ...ぞ っ ?!」

 

不意に天井が開き

上から紙吹雪が降ってきた

 

ファサっと...ではなくドサっと

 

「...黒たーん、ちょっと量が多くない?」

 

降ってきたというよりは塊で落ちてきた大量の紙吹雪に襲は埋もれて見えない

 

「わーっ!襲!今助けるからね!」

 

ちょっとヒラヒラと降らせるだけと聞いていた咲玖が

慌てて襲を救出する

 

「...っ!殺す気かテメェ」

 

手を借りてなんとか紙吹雪の山から抜け出し

黒雨を睨みつける

 

「やーだー、紙じゃ人は死なないもーん

そんな事言うと...これも押しちゃーう!」

 

二個目のスイッチを取り出し

有無を言わせず押す

 

次に襲を襲ったのは...

 

「イッテェ!!!」

 

壁が開き飛んできたのはバスケットボール

これまた大量である

投げているのは見覚えのない人達

 

「なんだアイツら!誰だよ!つーかイテェ!」

 

彼らは事務所と契約しているエキストラの方々

黒雨に脅さr...頼まれて待機していたのだ

 

「襲たんバスケ好きでしょー?」

 

安全な場所に隠れ、呑気な声で叫んでいる

 

「ふっざけんな!バスケが好きだからってボールぶつけられて嬉しいワケねぇだろ!」

 

ようやく止んだボールの嵐に安堵し

息を切らせながら黒雨の元へ行き追いかけ回す

 

「きゃはははは!こわーい!」

 

するとまた、新しいスイッチを取り出した

 

「これで最後だよー♪ポチッとなーん♪」

 

スイッチが押されたと同時に立ち止まり

辺りを警戒する

 

~♪

Happy Birthday To you

Happy Birthday To you

Happy Birthday Dear かさね〜

Happy Birthday To you

 

どこからともなく音楽が流れ

いつの間にか楽屋から出ていた咲玖がケーキを持って登場した

 

「...お誕生日おめでとう襲

君が生まれてきてくれたこと、俺は本当に嬉しいよ

だから少しだけ、お祝いさせてね」

 

微笑みながら、けれど申し訳なさそうに

ケーキを差し出された

 

「別に...絶対に祝うなとは言ってねぇよ」

 

添えられていたフォークを手に取ると

苺を刺して食べる

 

「「いやっほーい!Happy Birthday襲たーん!」」

 

様子を見ていた冬羽と黒雨が駆け寄る

 

「テメェらには祝われたくねぇから帰れ」

 

抱きつこうとした彼らをサッと避けると

ついでに冬羽を蹴った

 

「いった!なんで俺だけ?!」

 

「やーい蹴られてやんのートワたんマヌケー♪」

 

キャーキャー騒ぐ二人を他所に

襲はケーキを食べ続けた

 

「かーさね、また来年も一緒にお祝いさせてね?」

 

黙々とケーキを食べる襲に咲玖がコソッとお願いする

 

「...まぁ、美味いケーキが食えるなら

多少は付き合ってやるよ」

 

未だ騒いでいる馬鹿二人と

少し遠慮が過ぎるお人好しと

この空間と、時間と、ケーキ

 

彼は案外、こういうのが嫌いではないのだ。

Vanneに100の質問!

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「うぇーい!冬羽でっす★

なになに?100の質問

うっは、多いwwやばいww

いいぜー、なんでも答えちゃうよー♪」

 

好きな色は?

「明るい系だなー、ショッキングピンクとか、赤とか♪」


好きな食べ物は?

「肉!焼肉!ハンバーグ!」


好きな匂いは?

「バニラの甘い匂い好き♡」


好きなアイスの味は?

「当然バニラっしょw」


好きな食べ物は?

「待ってwwさっき答えたww」


逆に嫌いな食べ物は?

「んー?特にねぇよ?何でも食える!」


好きな動物は?

「あー、よく聞かれるけど分かんねぇ

いや、動物は嫌いじゃねーよ?むしろ好き

そーだなー...でっかいモフモフの犬とかテンション上がる!」


苦手な動物は?

「生きてるもの大体友達なんで(そういうのはナイです)」


好きなおにぎりの具は?

「くー!悩むなソレ!鮭...いや、たらこ?梅も捨て難いしー...全部じゃダメ?w」


朝ご飯は米派?パン派?

「あえて言うなら米かな...腹持ちいーじゃん?」


ケータイ何色?

「ケータイっつーかスマホなんだけど...TORQUE G02のレッド使ってる!」


好きな数字は?

「2番!1番じゃ角が立つしー、3番じゃ弱いし...2番って気楽でいいよな」


好きなアプリは?

Twitter★」


よく使うアプリは?

「んぁ、LINE...Skype...どっちが多いかなー

使用頻度が高いのはその二つだな!」


小さい頃の夢は?

「ヒーロー!レンジャーなら赤!男はやっぱりヒーローだろ!」


今の夢は?

「外国の友達が欲しいなぁ...英語苦手だけどw」


恋愛ドラマ、コミカルなドラマ、どっちが好き?

「コミカル!恋愛は良くわかんねーから」


友達多い?

「普通じゃね?よく遊びに行く友達だけなら15人くらい」


座右の銘は?

「明日、後悔しない今日を生きる!」


なりたい顔の芸能人は?

「俺が既に芸能人だからね?今さら他の人に変われねぇよ?」


彼氏、または彼女にしたい芸能人は?

「ゴメン!そういうのマジで分かんねぇ!」


面食い?

「いんや、全然!人間ならなんでも...っつーか生きてりゃなんでも友達にはなれる!」


何フェチ?

「へ?...えっと、なんだろうな...人間フェチってある?w」


苦手なスポーツは?

「スポーツ全般得意だけど、バスケじゃ襲に負けるからバスケかな?」


得意なスポーツは?

「サッカー!」


遊園地に行ったら1番最初に乗るものand最後に乗るものは?

「ジェットコースターかーらーの、ジェットコースター!」


怖い映画、話とか平気?

「幽霊とかそゆこと?だったら平気、幽霊も元は人間じゃん?友達になりたいよなー」


チャームポイントは?

「俺という存在?...待って、そんな目で見ないで泣きそう」


コンプレックスは?

「俺さ、筋肉付きにくい体なんだよーそれがちょっと悲しい」


寝る体勢は?

「仰向け!つーか、朝起きたら逆さまになってたりすんの...やばくね?w」


彼氏、彼女にする条件は?

「あーっと...恋心ってやつ知ったら教えるわ」


理想の告白は?

「ヒエッ」


恋愛は奥手?

「分かんねぇよおおお!」


あ、性別は?

「今さらww健全な男の子でっす!」


好きなキャラクターは?

くまのプーさん♡」


朝弱い?

「ちょーっとだけな?でもこの仕事してるとンなこと言ってらんねーのよw」


目覚まし何個?

スマホのアラームだけ★」


武勇伝は?

「黒雨のフォーク攻撃を一回は避けた!(キリッ」


告白回数は?

「ぜっろー」


告白された回数は?

「それファンレターの『好きです』も含む?だとしたら分かんねw

直接言われたのは...あれ、何回だっけ...」


ファッションで1番どこに気合入れる?

「小物!ベルトとかアクセサリーとか」


はじめに洗う体の部位は?

「いやんエッチ♡なーんてな、頭から洗うぜ!」


カラオケ十八番は?

Aqua Timezの歩み♪」


オタクですか?

「んにゃ、漫画は多少読むけど本気で好きな人には敵わねぇよ」


何の?

「何が?ww」


好きな男性アイドルは?

「アイドル...?」


好きな女性アイドルは?

「うちの事務所にエミリーエイミーって双子がいるんだけどさ、かっこいいやら可愛いやら...あの2人のパフォーマンスクオリティはマジで尊敬して...え?そういう事じゃなく?」


何歳で結婚したい?

「恋も知らねぇのに結婚は無理っしょw」


理想の子供の数は?

「サッカー出来るくらい...とか、言っとく」


それは男の子?女の子?

「どっちでもいいな!健康ならそれだけで!」


生まれ変わったら男?女?どっちになりたい?

「男★つーかもう一回自分として生まれたい」


苦手な音は?

「黒板キーッてするやつ...無理...」


サプライズとか好き?

「大大大好き!どんどんやって欲しい!」


自分はする?

「もっちろーん!」


黒歴史ある?

「中学生ん時に最強の武器とか考えてノートに落書きしてた...消し忘れて先生に見られた時は死にたかったね!」


捨てられない物は?

「誕生日のプレゼントで貰った巨大ステーキのオブジェ...捨て方がわかんねぇw」


漫画好き?

「おう!」


それは何の?

「バトルものとか、アクション系だなー」


アニメ好き?

「好きだけど、この仕事始めてから観てねぇや...時間なくてさ」


それは何の?

「漫画と一緒!バトルアクション系★

あとはー...ギャグとかも好きだな」

 

好きな音楽は?

「Vロック!」


足のサイズは?

「26cm!」


アクセサリーとかつける?

「シルバーアクセとか好きでよく付けてる♪」


貰って嬉しいものは?

「高級和牛♡」


部活何に入ってた?または入ってる?

「中学ん時にサッカー部入ってたぜ!」


好きなマークは?

「ハート♡」


くしゃみとか可愛い?それともぶっさいく?

「え?それ本人に聞いても分からなくね?w

普通だと思うけどなー...」


やめられない癖は?

「気が付くとピアス触ってる

別に困る癖でもねぇけどなw」


これがないと寝れないとかある?

「特にはねーかな?どこででも寝れるし」


朝の準備時間は?

「30分くらい!」


好きな漬物は?

「漬物ww渋いwwあーっと...たくあん!」


泣き虫?

「ビックリするくらい泣かねぇの俺♡」


何をよく買う?

「服...だな!イイなーと思ったらすぐ買っちゃうw」


期間限定とか弱い?

「弱い!めっちゃ弱い!」


お風呂上りタオル何枚使う?

「体拭く用のでっかいのとー、髪用のフェイスタオル...で、二枚かな?」


タオル何日で洗う?

「一回使ったら洗うっしょ...え、そのまま次の日もーとか、雑菌やばいよ?」


お風呂何分?

「夏はシャワーだけで30分、冬は湯船に浸かって1時間ちょいかな」


ドライヤー何分?

「タオルドライからの自然乾燥だからドライヤー使わねぇや」


ケータイ命?

「そーだなー、現代っ子だからそれなりには?」


早口言葉得意?

「生麦生米なまなまも!...うん、得意、ちょー得意★」


あなたは可愛い?かっこいい?

「かっこいいって言われる方が多いかな?」


彼氏、彼女にするなら可愛い?かっこいい?

「どうなんだろうなー...やっぱり可愛い子に惚れるのかなー...」

 

とくに気にしない?

「多分な。分かんねぇけどw」


好きな芸人さんは?

「つっちー♡あ、土田晃之さん...です!」


最近笑った出来事は?

「今も笑ってるけど?」


最近怒った出来事は?

「えー...記憶にねぇなー

俺あんま怒らねーからさw」


最近泣いた出来事は?

「あれ?さっき似たようなのなかった?

俺ビックリするくらい泣かねぇのよ」


最近驚いた出来事は?

「黒雨にフォークで刺された瞬間はさすがに...な?」


最近嬉しかった出来事は?

「撮影ん時に共演者さんがすっげー美味しいカツサンド差し入れてくれたこと!」


夜、真っ暗だと寝れない?

「へーき♪」


お化け信じる?

「いたら面白いなーとは思うけど、見たことねぇからなー...半信半疑?」


サンタは?

「俺がサンタだー!全国のちびっこイイ子にしてろよー♡」


漫画、小説、どっちが好き?

「漫画!小説は途中でどこ読んでるか分かんなくなるからw」


今、どんなカバン使ってる?

「マイケル リンネルのメッセンジャーバッグって分かる?

俺は赤いクリアポケットのラインが入ったヤツ使ってる♡」


癖毛?直毛?

「直毛だなー

ヘアアイロンで癖つけてもすぐ戻っちゃってヘアメイクさんにはいつも苦労かけてまっす!」


初恋はいつ?

「まだ!」


ストレス発散法は?

「ストレス?何それオイシイの?」


彼氏何人出来たことある?

「0!めっちゃ0!」


サッカー、野球、どっち派?

「サッカー♡」


好きな言葉は?

「ポジティブ!」


最後に一言!

「あー、長かったw

これで俺のコトいっぱい知ってもらえると嬉しい♡」

『決着』

「なるほど、面白い冗談だね」

 

ここに来て襲の名前が出てくるとは思わなかった

この件に関して彼は完全な蚊帳の外だと思っていた

 

「冗談じゃない...本当に襲に頼まれたんだ

そうでなきゃ俺は何も知らずに過ごしていたよ

黒雨の言う通り、冬羽に異変は無かったからね

襲がどうやって気付いたのかも俺には分からない」

 

「ふーん...」

 

これは本人に聞かないと埒が明かないな

 

「今度は襲たんに責められるのかなぁ...

やれやれ、問題児は辛いぜ」

 

「襲にも全て話すの?冬羽や俺に言った話と同じ事を...」

 

まだ手首が痛むのだろうか

擦りながらなんとか立ち上がった彼は

少し心配そうに伺う

 

「そうだね、もうこうなったら仕方ないというか

そもそも僕は最初から本気で人間が嫌いだって言ってるんだから

信じてもらえてないと困るよ

襲たんがどうやって気付いたのかも気になるからねぇ...」

 

幸い今日はメンバー全員がオフだ

襲も自宅にいるだろう

ここから彼の家までそう遠くはない

 

時刻は午後7時

 

僕はまだ戸惑っている様子の咲玖を放置して

襲の家に向かった

 

道中、冬羽に電話をして

今まで起こっていた事を話すと

他人事のように笑いながら

「まぁ、後は頼んだ!」と言って電話を切られた

 

それから少し歩いて襲の家に着くと

インターホンを無視して扉を開けて入った

冬羽がさっきの通話で「襲の家カギかかってねーから入れるぜ!」などと

彼の防犯意識の薄さを教えてくれたのだ

 

「文字通りお邪魔するよー」

 

廊下を抜けて突き当たりの部屋に入ると

ダイニングキッチンに襲がいた

 

「ああ、黒雨か...どうした?」

 

どんな顔をするかと思ったら

至って普通の表情で迎え入れてくれた

声もいつもと変わらない

 

「んーと、なんだか拍子抜けしちゃったな

まぁいいや

とりあえずお茶ちょうだい

喉渇いちゃって...日本茶ならなんでもいーよ」

 

「?ああ、ちょっと待ってろ」

 

棚から茶葉や急須を取り出す襲を眺めながら

ふと彼の足元に目をやると黒猫がいた

邪魔にならない距離、けれど遠すぎない近さで傍にいる

名前は確かシャーロット

 

(随分と野性の抜けた猫だなぁ...)

 

そんな事を思いながら猫を目で追っていると

お茶を淹れ終えた襲が

僕の前に湯のみを置いて向かいの椅子に座った

 

コーヒーや紅茶を淹れるのは得意そうだけど

日本茶は下手そうだなぁと思いつつ一口飲む

 

「あれ、美味しい...」

 

予想に反して温度も抽出も文句のない美味しさに驚いて

思わず声に出してしまった

 

「あれってなんだよ...お茶くらい普通に淹れられる」

 

「ああ、そう、君って意外と器用なんだ」

 

ズズ...とお茶を啜って一息ついたところで

本題を切り出す

 

「あのね、さっきまで咲玖たんのところで話し合いをしてたんだけど

なんだか君が仕向けた事みたいだから話を聞きに来たんだよ

どうやってトワたんの傷を知ったの?

っていうか、君のせいで色々と面倒が起こった挙句、咲玖たんは言質を取られた訳だけど...どうしてくれるの?」

 

例え気付いても黙って流してくれていたら

僕と冬羽の間の約束は守られたし

咲玖だって余計な痛みを負わずに済んだ

まったく襲にも恨みしかないよ...

 

ちょっと睨みつつ反応を待つと

僕の問いかけに怪訝な顔をして

少し怒気を孕んだ声で話し始めた

 

「冬羽はあれで隠したつもりだろうがな...俺には無駄なんだよ

何年アイツの面倒を見せられてると思ってんだ」

 

知らないよそんな事

つまり冬羽にちょっとは異変があったって事かなぁ?

それを見逃さなかった?

 

うわ、気持ち悪い

僕の気味の悪さと良い勝負だ

面倒だとか厄介だとか言いながらこの男は

冬羽の一挙手一投足を見逃さないくらいには見てるって事でしょ?

見守ってると言えば聞こえがいいけど

ちょっとした変態扱いされても文句言えないよ

そういうのは二次元だけにして欲しい

 

「随分と大切なんだね、トワたんが」

 

「あ?そんな話じゃねぇだろ」

 

そんな話だよ馬鹿

無自覚もここまで来ると素直に感心する

 

「まぁ、気付いた理由はそれでいいや...それよりこの事態はどうしてくれるの?

君が追求したせいで僕とトワたんの間にあった約束は台無しだよ」

 

心底余計な事をしてくれたなという気持ちを最大限込めて責めてみた

 

当然と言うべきだろうか

眉を顰めて舌打ちをされた挙句、ため息をつかれた

ため息をつきたいのは僕も同じなんだけれど

今は黙っておこう

 

「テメェらの約束なんざ知るかよ

冬羽に余計な影響を与えるんじゃねぇ

アイツが壊れた時に引き戻すのは俺の役目って事になってんだぞ

面倒を増やすな、頼むから」

 

何言ってんだコイツ

 

さすがの僕もイラつかずにはいられない

引き戻すのが役目?へぇ、それは大層なお役目ですね

で、お前にそれを言う資格があるのか

いや、ある訳ないだろ

 

「咲玖たんに丸投げした君がそんなセリフよく言えたね

だったら最初から君が僕に問いただせばよかったじゃないか

それすらしないで自分は高みの見物?

職務怠慢もいいとこだよ」

 

痛いところを突かれたのか

一瞬、反抗しようとしてすぐに目を伏せた

当たり前だ 反抗されてたまるか

僕は間違ってない

 

「俺は...」

 

「いーよ言わなくて、分かるから

 

つまり君は僕が怖いんでしょ?」

 

「...」

 

沈黙は肯定の証とはこの事か

分かりやすく黙り込んだ襲に続けて畳み込む

 

「はは、気にするなよ

僕みたいな奴を避けたがらない人間がいるものか

君は正しく僕を避けたんだろ?別にそれが普通の反応だと思うよ」

 

別にフォローのつもりじゃない

僕みたいな奴を避けたがらない人間なんて今までいなかった

両親すら...いや、その話は置いとこう

とにかく僕の本心を知っても変わらなかったのは冬羽くらいだった

 

目の前の男はどうなんだろうか

僕の言葉に少し迷いを見せた後

観念したように口を開いた

 

「俺はお前の人間嫌いが本気だって、最初から信じてるからな...

いつだってお前は隙あらば誰かを殺そうとしてた

そんな目で、俺らを見てだろ」

 

は、はは

なんて事だ...まさか僕の本心を最初から信じてくれてたなんて

嬉しくて顔に出さずにはいられないよ

 

「...何笑ってんだ」

 

「いやぁ...こんなにも人間に感謝したのは初めてだよ襲たん

僕の言葉を信じてくれて、僕の本心を信じてくれてありがとう

けれどそんな君も大嫌いだよ」

 

彼だけは最初から僕をそういう目で見ていて

僕が彼らをそういう目で見ている事を知っていて

それでも今日まで無関心を貫いていた訳だ

 

おかげで僕は

人間が嫌いなのに人間として生きるしかない中で

Vanneという居場所をかろうじて得た

 

「ああ、ごめんごめん話を戻そうか...

君は最初から僕を要注意人物としてマークしてて、トワたんの異変に気付いた時に

真っ先に僕が原因だと判断したけれど、自分で当たるのは怖くて咲玖たんに丸投げした

 

こんな感じでいい?」

 

少々散らかった感のあるここまでの話を

簡単にまとめてみた

今回の一番の被害者は咲玖かもしれない

怖がりな友人に問題を押し付けられて

この僕を許してまったのだから

 

「概ねそんなところだけどな

お前が怖かったのもあるが、咲玖ならお前をなんとか出来るかとも思った

嘘でもお前はアイツに懐いてたからな

俺より可能性はあるんじゃねぇかと...まぁ、無駄だったがな」

 

無駄もいいとこだ

嘘なんだから可能性も何もあるものか

僕は等しく皆が嫌いだ

ただでさえ微々たる人らしさを最大限使って暮らしてるのに

誰か一人に向ける特別な感情なんか持ち合わせていない

 

「ところで...咲玖が取られた言質ってなんだよ

お前、何を言わせた?」

 

今さらそこを気にするのかよ

もっと他に言いたいことがあるだろうに

まだ頭の中で整理中かな?

 

「"黒雨を許す"だよ

僕の二度と殺そうとしないという言葉を信じて、トワたんが許した僕を彼は許した

それで咲玖たんが得た安寧は

仲間同士で傷付け合うことの無い暮らし、日常、Vanneという居場所...

なかなか良い容赦と安寧でしょ?」

 

ここで襲にも同じように言葉を貰おうと思っていたけれど

どうやらその必要はないみたいだ

なぜなら彼は既に...

 

「容赦と安寧か、なるほどな

冬羽とお前の間の約束ってのもそれか

だったら俺も提示してやるよ

 

俺が許すのはお前の本心、得る安寧は無くていい」

 

一瞬どころか数秒

何を言ったのか分からなかった

僕の本心を許す?

安寧は無くていい?

なんだそれは

都合が良いにも程があるだろう

 

「殺されたいのかお前」

 

...おっと、危ない

錯乱して口が滑った

 

「いや、間違えた...えっと

気は確かかな襲たん?」

 

可愛く笑って確認する

 

もしかしたら聞き間違いかもしれない

というか聞き間違いの方が有難い

こんなの都合が良すぎて気持ち悪い

 

「別に狂ってねぇよ

俺はお前の本心を許す

安寧は要らねぇつったんだ」

 

うん、聞き間違いじゃなかった

こんな大事を淡々と言ってくれるな

最初の面倒を増やすなって言葉はどうした

冬羽に余計な影響を与えるなって言葉は?

僕の本心を許したら面倒も影響も定期的に与えるぞ

 

「君、もしかして投げやりになってない?」

 

「なってねぇな」

 

嘘だろ

さっきから顔色ひとつ変えないけど

一体どういうつもりなんだろうか

 

「理由が知りてぇならそう言えよ

俺は途中まで答えを二つ用意してた

いや、細かく言えばもっとか...

けど咲玖が言った言葉を聞いて決めた

冬羽が許したお前を咲玖が許したなら

俺は咲玖が許したお前を許す

もちろん、冬羽に関する今後の面倒は負ってやるよ」

 

そんな伝言ゲームみたいな許され方されても困るなぁ

いや、許してくれるのはいいけどさ

 

「なんて言うかそれは...君が不利すぎない?

さすがの僕も気が咎めてきちゃった

人らしく安寧くらい求めろよ

あるでしょう、僕に消えて欲しいとか

僕を殴りたいとか殺したいとか」

 

「俺にお前は殺せねぇよ」

 

そんな訳あるか

本気の襲に僕は敵わない

背も体力も負けてる

明らかに殺せる

 

「つーか、俺は人が死んでも嬉しくねぇし...今さらお前を手放せるかよ

お前みたいな問題児、冬羽と一緒に監視されるのがお似合いだ

自分に都合の良い展開を素直に喜べ」

 

生憎、僕は根本から捻れてる捻くれ者だからね

喜べないし嬉しくない

大体、手放せないとは何事か

そんなデレ今は求めてない

いっそここで殺し合いになった方がマシだ

 

「そんな聖人君子みたいな提案を手放しで喜べって?無茶言うなよ襲たん

言っておくけど、僕はこれからも無意識に無作為に面倒や影響を提供するよ?

それを君は片っ端から修正していくつもり?」

 

「ああ」

 

これは何を言っても無駄というやつだろうか

僕もなかなか強情だけど、コイツも相当だ

 

さて、ここらで幕引きにするのが妥当だろう

まったく彼の無欲さは理解できないけれど

そもそも僕と冬羽の間では終わった話だし

こんな事になったのは蒸し返した襲のせいだ

もう丸く収まるならそれでいい

 

「分かったよ...別に僕はVanneを失いたい訳じゃないからね

君が許してくれるなら甘えようか

ただ、やっぱり君が不憫だから

僕はトワたんと同じ痛みを負っておくよ」

 

テーブルに置かれたフルーツバスケットに差し込んである果物ナイフを手に取り

自分の鎖骨辺り、冬羽を刺した場所と同じところを刺して見せた

 

襲は目を見開き絶句し、勢いよく席を立つと僕の傍へ駆け寄った

 

「あ、は...フォークとナイフじゃ釣り合わねー

でも、倍返しって事で受け止めてくれればいいや...」

 

「馬鹿じゃねぇのかテメェ!誰がそんなこと頼んだんだよ!」

 

僕が僕を許すにはこれくらいしないと無理だ

人間を嫌いなんて本心を持ち合わせておきながら実際、酷い有様だ

人の優しさに許されて

人の情に甘やかされて

まるで矛盾している

 

だけど僕は今さら人を好きにはなれない

心が、体が、何かが拒んで邪魔をする

僕はきっと生まれてくる種を間違えた

動物や植物に生まれるべきだったんだ

 

「ああ、ちくしょう

君達の傍は生きづらいなぁ...僕の全てが通用しない

出会った事が不運の始まりとしか言えない

最悪だ、最低だ...僕だって君達を手放せなくなっちゃったじゃないか」

 

ハンカチで僕の傷口を押さえながら

彼は優しく笑った

 

「そうかよ、そりゃ良かったな」

 

良いわけあるか勘弁してください

 

...明日から僕は、今までと変わらず

我が儘で適当で可愛い

無邪気と邪気の塊に戻る

 

彼らも何事も無かったように

笑って暮らすんだろう

 

やれやれ、みんな大嫌いだ

いつか同じようにくたばればいい

具体的には50年後くらいに

安らかに滅亡すればいい

 

その時は僕も、喜んで滅ぶとしよう。

 

 

 

 

 

 

~END~

『容赦と安寧』

「冬羽に、何をしたのかって聞いてるんだよ...黒雨」

 

オフ日の午後4時、咲玖に呼び出されて彼の部屋に来ていた

問いただされているのは何の事だろう?

さっきから考えているけれど

一向に思い当たらない

 

「んー...今日はトワたんに会ってないから何もしてないよ?

変なこと聞くねぇ...夢見でも悪かった?」

 

事実、今日はこの部屋に来るまで自宅で寝ていた

冬羽から連絡も無かったし本当に会ってない

僕は嘘はついてない

 

のに...

 

「そうじゃない、そうじゃないよ黒雨

今日の事じゃなくて

きっと、恐らく数週間前の事だ

君は冬羽に"何か"をしたんだ」

 

数週間前...美味しいケーキを食べながら過ごした日

そう、美味しいケーキを食べたついでに

「トワたんを刺した日だね、フォークで。」

 

「お前...っ、何を...」

 

「でもおかしいなぁ...確かその話は僕とトワたんだけの秘密だよ?

なーんで咲玖たんがそんな事知ってるのかなー

...と、思ったけど違うか

君ってばトワたんが隠しきれなかった異変に目ざとく気づいた訳だ?

それで真っ先に僕を疑ったのはどういう了見かさっぱり分からないけれど

まぁ、その偏見については見当違いじゃなかった事に免じて許すよ」

 

にっこり笑って僕は咲玖を許してあげた

人らしく情の過ぎる彼を優しく許してあげた

これは褒めてもらわないと割に合わない

 

「笑い事じゃないだろ!仲間を傷付けるなんて何を考えてるんだお前は!

いくら俺でもそんなの許容できないよ!」

 

えー、褒めるところだと思うんだけど

なんで掴み掛る勢いで怒ってるんだろう

咲玖ってこんなに情緒不安定だったかな

 

「許容できないって...今は君の狭量さの話じゃないでしょ?

そもそも僕はトワたんに許されたし、僕もトワたんを許したよ

つまり、えーっと、そう...君には関係ない」

 

だってあの事件は事件にならず終わった

冬羽が殺されたがった事実も

僕がフォークで冬羽を刺した事実も

全部、終わった話なのだ

ここで咲玖が出しゃばる問題じゃない

 

「関係ない?そんな訳ないだろ!仲間が仲間を刺すなんて残虐な事件...俺には放っておけない!」

 

勢いよく肩を掴まれてちょっと首を傷めた

言っておくけど僕の身体は強くない

筋肉もないしそもそも骨が細い

フォークで人を刺す程度の力しかないのに

この男ときたら遠慮なく揺さぶってきた

 

「あー...首が痛い、肩掴んで揺らすのやめて

やれやれ君はお節介が過ぎる上に暴力的ときた...こんなの僕の手に負えないよ

負けても負えない負えても負ける

だから...離して」

 

「痛っ...?!」

 

さて、みんな知ってるよね

人間は関節をぎゅーってされると痛いの

護身術に使えるよ、覚えて帰ってね

 

「子供の頃に一人はいたでしょ?

友達の手首を絞めて『痛い?(笑)』って聞く奴...何が楽しいのか分からないあの戯れ

まさかこの歳になってやるとは思わなかったけど...ねぇ、痛い?(笑)」

 

手首を押さえて距離を取ろうとした彼に

ぐっと顔を近付ける

 

「君は僕の手に負えないけど、君の手に痛みを負わせるくらいは僕にも出来る

仕方ないから聞いてあげるよ

君は何が望みで終わった話を蒸し返してるの?」

 

じっと見つめて話を促すと

睨むような、畏怖するような

複雑な目を向けて口を開いた

 

「だ、から...仲間を...「ごめんやっぱり面倒だから今のナシ」

「え?」

 

手首を押さえている方の手を掴んで

さっきより強く握り締める

骨を折る気で握ればちょうど非力な僕でも彼を無力化できるはずだ

 

「!い゛...ぅ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」

 

「...あれ?」

 

思ったより反応がえげつなかったので

パッと力を緩めると

彼はうずくまって唸り出した

僕って意外と握力あるんだなぁ

 

「黒 雨...なんで、こんな事を...?」

 

なんだそのセリフは

それじゃまるで僕が残酷な犯罪者か何かみたいじゃないか...失礼しちゃうな

なんでってそんなの...そんなの...

 

「...?理由か、理由...えっとねー

あ、昨夜の夢見が悪かったから」

 

「...は?」

 

「昨夜の夢見が悪かったから君に八つ当たりした

そんな感じでどう?」

 

「どう?って...お前...」

 

「オマケに君が持ち前のお節介で終わった話を蒸し返した挙句、僕を揺さぶって首を傷めたから仕返しした」

 

未だ座り込み手首を押さえている彼を見下ろして

懇切丁寧に"理由"を説明したのだけど

どうも彼は放心しているようだ

ちっとも反応がない...

 

「咲玖たーん?」

 

「...っあ、お前は...おかしい...」

 

「おっと、イキナリ悪口?

うん...まぁいいよ

そういうのは気にしないから

それと、僕は一番大事なことを言い忘れていたからね

その混乱を少しでも緩和するために教えてあげるよ」

 

さっきから咲玖の反応に違和感があった

どうして彼はこんなに物分りが悪いのか

どうして僕に対して"仲間"なんて言葉を連呼するのか

そう、僕は大事なことを伝えてなかった

冬羽に話したことで他の人にも伝わった気になっていた

 

「僕はね、本当に人間が嫌いなんだよ

冗談じゃなくて、嘘でも照れ隠しでもキャラ付けでもなくてね?本当に人間って生き物が嫌いなの

だから君達を仲間だとは思ってない...」

 

冬羽に話した時と同じ説明をした

微生物より微々たる感情と人らしさを最大限使って彼らと仲良くしていること

本当に殺したいほど嫌いなこと

でも殺せないこと

そう、あの日冬羽に話したことを教えてあげた

 

こうなったらいっそ襲たんも一緒に聞いてくれたら今後が楽だったのにとか

途中からそんな風に思いながら話していた

 

僕の言葉を聞くたび咲玖の目は伏せがちになり

ちょうど頭を抱えだした辺りで話し終えた

 

「...つまりそんな訳で僕はトワたんを刺したけど、トワたんは僕を許したってコト 分かった?」

 

僕の問いかけに答えようとせず

ただただ黙り込む彼に寄り添い抱き締めた

一瞬、身体が強ばったのを感じたけれど

構わず続けて話しかける

 
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「ねぇ、咲玖たん...僕はトワたんを刺した後に言ったんだよ

こんな事を君や襲たんが知ったら

Vanneは終わりだと思うよって

でも、トワたんは君達を過大評価してこう答えた

『襲と咲玖がそんな薄情だとは思わねぇ』ってね...」

 

肩を支えて覗き込むと

少し震えながら顔を上げて僕を見た

その表情はなんと言えばいいのか

今にも泣き叫びそうな表情で

けれど、何かを理解しようと必死なようにも見えた

 

「...こんなの、情の問題じゃない

刺したお前も刺されて平気な冬羽も

そんなお前達を情だけで許すと判断した二人の考え方も全部、全部おかしい...

 

おかしいのに...これじゃあ俺が間違ってるみたいじゃないか」

 

よく分からないけど、きっと咲玖は間違ってない

僕らの中で一番の常識人と言われる彼のこと

多分その考え方が一番正しいのだろう

だけど...

 

「君は間違ってる訳じゃないと思うけどね

残念ながら君が身を置いてる場所は

その正しさこそが仇になる」

 

だからって僕が間違ってる訳でもないけど

 

「どうして、お前達は正しく生きられないんだ...せめてVanneの中だけでも

嘘でもいいから正しく平和に生きてくれよ」

 

懇願するように僕にもたれる彼を見て

果たして僕は何を思っただろう

可哀想とか、申し訳ないとか

そんな感情が湧けば良かったのかもしれない

 

実際は、全く記憶にないほど何も思わなかったのが真実だけど

 

「それは無理だよ...というか、よくそんな酷い無茶を言えるね

そもそも、僕もトワたんも自分なりに容赦と安寧ってのを持ってるのに

何も持たない君が偉そうに言うなよ」

 

あ、今なんで俺が責められてるんだって顔した

さすがの僕にも分かった

だけど、こんなの責めたくもなって当然だ

 

「...容赦と、安寧?」

 

「僕は人間が嫌いだけれど、僕にだって人らしさがある...だから君達を許してVanneという場所に身を置き、これでも平和に暮らしてる

トワたんは唯一、僕みたいな奴が苦手だけれど...僕を許してVanneを守り

あれでも平穏に暮らしてる

なのに君ときたらあれも許さないこれも許さない

何も容赦しないどこにも安寧がない

そんなの...許されるわけないでしょ

もしかして君は、自分が正しいから全て自分に従えとかそういう独裁的な話をしてるの?」

 

なんとなく最初から分かっていた

Vanneの中で不協和音を乱すのは咲玖だと

だって出会った時から彼は綺麗な音ばかり

なるほど、それは確かに個々の不協和音となら上手く合わさって素敵な音楽になるかもしれない

けれど、二対一、三対一になればどうだろう

こうやって綺麗な音は不協和音に飲まれて

消え入りそうになりながら足掻く

 

「違う...俺はただ、大切な人に傷付いて欲しくないだけだ

大切な人に...刃を振るって欲しくないだけだ...」

 

こんな事になっても僕を大切だという

彼も一度好きになったら二度と嫌いにならないタイプなのだろうか

本当に人間は分からないな

 

「まぁ、それが君の安寧だと言うのなら

簡単な話だよ、僕を許す事だ

僕は誓ったよ?どうせ殺せないんだから金輪際、君達を殺そうとはしないって

だったら君が許すのは僕の過去の過ち、たった一つでいい

それだけで君も僕らと同じ

平和で平穏な暮らしが出来る」

 

本当は過ちだなんて思ってないけど

 

そもそも冬羽が殺されてみたいなんて言わなければ

僕の人間嫌いを軽視しなければ

あんな風に会話を"誘導"しなかったのに

全く、冬羽には恨みしかないよ

 

「黒雨を...許す...?」

 

「そう、僕を許すんだよ

子供の悪戯を笑うように

無意識の無礼を流すように

不意の事故を示談にするように

凄惨な被害を不運で済ませるように

...それだけで、君に安寧が訪れるよ」

 

ここまで言ってふと思った

何故こんなことになったのかを

 

冬羽はあの後、本当に誰にも何も言わず

傷も見えないようにバレないように

それはそれは上手く隠していた

僕もしれっとしていたし

特にお互いを避けたりもしていない

どころか今まで通り一緒に襲たんをからかって遊んでいたくらいだ

 

正直、一生バレない自信があった

なのに...ズバリ言い当てられたわけじゃないとはいえ

咲玖は僕が冬羽に"何か"をしたのだと

察して、問いただし、僕に吐かせた

 

冬羽が隠しきれなかった異変に気付いたんだね...と言いつつ

僕は納得していなかった

冬羽は隠しきっていたから

 

そうなるといよいよ訳が分からない

どうやって彼は僕と冬羽の秘密に気付いたんだろう...

 

「許すよ」

 

僕の提案を聞いた後

しばらく考え込んでいた咲玖がポツリと呟いた

 

「ん?」

 

「俺はお前の過去を許すよ...黒雨

二度と殺そうとしないって言葉を信じて

冬羽が許したお前を許すよ...」

 

「そう、良かった

これで君も僕らと同じになれたよ

晴れて安寧は君のものだ、おめでとう」

 

顔は全然、許すって顔じゃないけどね

言質は取れたし僕は構わない

 

「ところで、一つ気になることがあるんだよ

許すついでに教えてくれない?」

 

「...何を?」

 

「君が今回のことに気付いた訳を教えておくれよ

話を進めるためにトワたんの異変に気付いたどうこう言って決め付けたけど

...そんな訳ないよねぇ?」

 

率直に疑問をぶつけると

分かりやすく目を泳がせた

人の目って本当に泳ぐんだなぁ

反応からしてやっぱり冬羽に異変があった訳じゃない

さらに言うと真実は多分、ロクなものじゃない

 

なにやら迷った後、咲玖が重い口を開いた

 

「俺は、気付いた訳じゃない

襲が...頼んできたんだ

 

『冬羽が怪我した理由を黒雨に聞いてこい』って」

 

へぇ、襲が...

 

「...なるほど、面白い冗談だね。」

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued(?)

VanneキャラクターソングVer.襲



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「silentvoice」

唄:襲

作詞:MWCO

作曲:MWCO

 

通り過ぎた後悔の痕

数える度に増えてゆく

言葉に出来るような

想いなら こんなにも

仕舞い込んだりしない

 

Please find a way to forgive me

抱えきれずに捨てた心は

二度と取り戻せない場所にある

綺麗なまま

Do you believe me?

これからは傍で

見守っているから...

 

あの時どうしたら

あの日どうしてあげたら

良かっただろうと考えては

今日も夜が明けてゆく

この気持ちを...置き去りにして

 

I can only say these kinds of things

...それでもいいと

言ってくれたのなら応えるから

踏み外したりしないで

 

I wanna be together forever

時間が許す限り

部屋の鍵は開けてあるから

これからも傍に

誰よりも傍に「.........」

VanneキャラクターソングシリーズVer.咲玖


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「peace of the world」

唄:咲玖(Vanne)

作詞:MWCO

作曲:MWCO

 

平穏な日々 朝日に照らされ目を覚ます

今日も誰も泣かないような世界を願って

優しいだけの言葉しかかけられないけど

きっと何もしないよりはマシと信じて

 

どうか微笑んで僕に見せて

愛しい愛しいその姿を

特別になんてなれなくていい

君が幸せなら

僕にできる事ならば

全力で捧げてみせるさ

 

平凡な日々 月に見守られ目を閉じる

今日も誰も泣かないような世界ではなかった

 

苦しい 悲しい 辛いと俯いて

冷たい涙を流す君へ...

 

どうか微笑んで僕に見せて

キラキラと光るその姿

都合のいい存在でもいいよ

君が幸せなら

僕にできる事ならば

いくらでも捧げてみせるさ

 

明日こそ誰も泣かない世界が来るかな

VanneキャラクターソングシリーズVer.黒雨


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「人間嫌い」

唄:黒雨(Vanne)

歌詞:MWCO

作曲:MWCO

 

友情 同情 愛情...散々

申し訳程度の喜怒哀楽も

脆弱な人間らしさも

消え去ってしまえばいいのに

 

まさか まさかねぇ

本当に死ぬほど嫌いだなんて

思ってないでしょ

思ってくれないでしょ

証拠に息の根止めてやりたいくらい

 

嫌よ嫌よも好きのうち?

そんな馬鹿な理想押し付けないで

僕は僕に素直過ぎるほど

君が嫌いで 奴も嫌いで

狂えそうだよ

 

家族 親友 コイビト...いらない

なけなしの義理人情も

純粋な子供らしさも

失ってしまいたい

 

まさか まさかねぇ

本当に吐くほど嫌いだなんて

思っていないなら

思ってくれないならば

試しに心臓突き刺してみようか

 

嫌よ嫌よも好きのうち?

そんな残酷な妄想はやめて

僕は僕に正直過ぎるほど

彼が嫌いで 彼女も嫌いで

狂ってしまったの

 

ワガママで適当で可愛い僕のこと

無邪気に無邪気を重ねただけの

天使にでも見えたの?

 

ああもう本当に笑えない!

 

嫌よ嫌よも好きのうち?

そんな馬鹿な理想押し付けないで

僕は僕に素直過ぎるほど

君が嫌いで 奴も嫌いで

僕も嫌いで仕方ないの

大嫌いなの!

 

心から

 

願う

 

明日にでも

 

消え去ってしまえば

失われてしまえば

終わってしまえばいいのに